神宮前二丁目新聞

渋谷区神宮前二丁目でポット出版が作る、地元限定フリーマガジンのWEBサイト。 編集部が訪ねた神二(じんに)のお店も紹介してます。

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【第13号】神二の店探訪/神宮前はなれ

[神二の店探訪]
神宮前はなれ

文・撮影=松村小悠夏
「熱燗は飲みづらい」は
ただの思い込みだったなんて

日本酒は好きだが、熱燗やぬる燗の酒臭さが苦手な私。味の違いもよく分からず、常に冷酒をメニューの上から順に頼むため、周りから「飲ませがいのない奴」と言われてきた。昨年末、神二に日本料理店「神宮前はなれ」ができたと聞き、ではそんな私におすすめの日本酒を教えてもらおうと店に向かった。
「熱燗が苦手な人は多いですよね」と言いながら店主の石井さんが出してくれたのは、おちょこに入った冷酒。辛口で、目が覚めるような鋭さだ。「じゃ、次にこちらのぬる燗もどうぞ」。恐る恐る口に含むと、まろやかですっきりした口当たり。酒臭さも全くない。「私、ぬる燗のお酒のほうが好みです!」と言うと、「実は両方とも同じお酒。熱を加えただけですよ」と笑う石井さん。
「冷酒だと香りがきつく感じるお酒は、熱を加えると角が取れてスイスイ飲めるようになる。でも、熱燗に向かないお酒に熱を加えると、バランスが崩れて酒臭くなります。さらに料理との相性もあるから、おすすめのお酒は店の人間にそのつど聞くのが一番です」
「神宮前はなれ」は昨年12月4日にオープンしたばかり。しかし石井さんは神二の街に対して、自分が生まれ育った足立区に近い下町のような親しみやすさを感じているという。
「週末、『はなれ』の前に野菜直売のトラックが来るんです。野菜を買っていたら、隣にいたおばちゃんが『野菜が好きならこれどうぞ。私が漬けたのよ』って家からぬか漬けを持って来てくれて。あまりにおいしいので、店でサービスで出したらお客さんに好評でした」。そんな神二の人達とのつながりを大事にしながら店を続けていきたい、と話してくれた。
「日本料理というと敷居が高く感じるかもしれませんが、僕もお酒をちょいちょい飲みながらお客さんとお喋りする、居酒屋みたいな店です。足立区のノリでやってますよ」

松の司 生酛純米酒
石井さんが「ぬる燗」のおいしさを教えてくれた酒。熱を加えるとまろやかな口当たりに。

店内はカウンター9席に個室が2部屋。予算に合わせたメニューの相談も可能

1年のうち2カ月ほどしか味わえない海の幸「セコガニ」。すっきりとした冷酒がよく合う(写真提供=神宮前はなれ)

取材当日、石井さんが出してくれたお造りと「楽器正宗」の冷酒

SHOP DATA
神宮前はなれ
営業時間/18:00〜23:00
定休日/日
住所/神宮前2-13-5 第六渡辺ビル地下1階
電話番号/03-6804-5708

公開日:
最終更新日:2019/02/04