神宮前二丁目新聞

渋谷区神宮前二丁目でポット出版が作る、地元限定フリーマガジンのWEBサイト。 編集部が訪ねた神二(じんに)のお店も紹介してます。

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【第9号】神二お悩み相談室 テーマ/財産を守る

「シルバー世代が元気な神二。財産管理について困っている人をサポートしたい」。
神二にある法律事務所からこんな連絡をもらって生まれた本企画。
今回は、相続財産に関するよくある悩みや、実際に神二の人が体験したケースをもとに回答してもらいました。

私がお答えします
C-ens法律事務所
森崎秀昭弁護士
神宮前2-4-7 303号室/2014年にC-ens法律事務所を設立し、2016年より神二に事務所を移転。相続財産の整理や調査の相談も受けている(初回無料)。

お悩み1
相続の準備をしたいけど何から手をつければいいのかわからない

まずは財産の洗い出しを。整理することで財産も家族も守れます

ひと口に相続財産といっても、下で挙げたようにさまざまな種類があります。まずはどんな財産をもっているのか書き出してみましょう。
負の財産が多い場合などは相続放棄の手続きが必要になりますが、この手続きは、通常、相続権が発生してから3カ月以内に行わなければなりません。例えば被相続人が70〜80代の場合、相続人であるお子さんは40〜50代の働き盛りで忙しいかたです。財産が多岐にわたっていて把握するための調査に時間がかかると、3カ月はあっという間に過ぎてしまいます。
財産を整理しておけば、今後活用できる資産を把握できて安心ですし、残される家族を守ることもできます。大切な思い出の品の整理と合わせて、財産整理を始めてみましょう。

預貯金/不動産/生命保険/有価証券/骨董品相続対象になる財産はさまざま。上に挙げたプラスの財産のほかに、借金や未払いの税金などの負の財産も含まれる。

 

お悩み2
近所の家が1億で売れたらしい。うちの土地も同じくらい価値があるのか知りたい!

売買価格と評価額は別物。相続額は評価額をもとに把握しましょう

2020年の五輪に向けて土地・建物の価格が上がっている神宮前。ですが、同じエリアでも、建物に面した道路の幅や築年数、木造か鉄筋コンクリート造かなどによって、当然、評価額は異なります。
いま「評価額」という言葉を使いましたが、これは「固定資産評価証明書」に書かれている公的機関の評価金額のこと。相続不動産は、この評価額をもとに考えます。固定資産評価額は市場の売買価格とは異なるもので、通常、売買価格より低いもの。不動産の広告などに書かれた売買価格をもとに「うちにはこんなに財産がある」と思うのは早計です。「固定資産評価証明書」は、都税事務所で簡単に取得できます。まずはこれで、不動産の相続額を正しく把握しましょう。
他に気をつけたいのは、固定資産税の延滞です。延滞金の請求だけでなく、差し押さえのリスクもあります。また、複数名義で所有している場合は代表者にしか請求書が届かないので、その他の所有者が延滞に気づかない場合が多く、注意が必要です。

お悩み3
長年住んでいる借地の持ち主から、賃貸料の大幅な値上げを要求された

まずは借地権の契約内容を確認してみましょう

ご相談のかたは、お父さまの代から神二の借地に数十年住んでいるとのこと。それが最近になって、所有者である家主から「現状の倍の借地料を払ってほしい」という要求があったそうです。
地代は物価、公租公課(国税や社会保険料など)、近隣の相場の変動によって増減できると契約書に記載されている場合が多いのです。反対に、借地権者からの値下げも可能です。まずは借地権の契約内容を確認してみましょう。今後は、現在の地代を基準に「地代は固定資産税の○倍」と取り決めをして、契約書に値下げの可能性も記載するといいでしょう。
また、借地は所有者の許可なく相続できますが、借地権の遺贈の場合は所有者の承諾が必要となります。子ども名義で家を建て替えるにも、所有者の承諾が必要です。
借地権には、借地借家法による5種類の借地権があり、価額の評価の仕方も変わってきます。借地について気になることがある場合は、契約内容を持参して専門家に相談することをおすすめします。

公開日:
最終更新日:2017/09/08