神宮前二丁目新聞

渋谷区神宮前二丁目でポット出版が作る、地元限定フリーマガジンのWEBサイト。 編集部が訪ねた神二(じんに)のお店も紹介してます。

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【第13号】神二でロングインタビューvol.1/佐藤正記さん

[神二でロングインタビューvol.1]
生まれ育った商店街を支える原電ビルオーナー
佐藤正記さん

 神二にある千原公園のななめ向かい、1階に「美容室Ozaka」が入っている「原電ビル」をご存知だろうか。
オーナーは、「神宮前二丁目商和会」の会長を通算16年務めた佐藤正記さん。
神二で生まれ育ち、商店街の活動を支えてきた佐藤さんのお話を聞いた。
文=上野絵美 撮影=沢辺均
●佐藤正記さん
さとう・まさき/1954年生まれ。原電ビル(神宮前2-19-10)オーナー。2017年まで通算16年、神宮前二丁目商和会会長を務める。写真は風邪で病み上がりの佐藤さんを引っ張り出し、寒空のもと撮影。

 

「神二」ではなく「原三」だった

リレー形式のインタビューやパンダマウスの家づくりなどなど、これまでたくさんの人の協力のもと誌面を作ってきた神宮前二丁目新聞編集部。しかし、ある日の企画会議で「初心に帰って“神二のキーパーソンへのロングインタビュー”というシンプルな企画をやってはどうか」という話になった。第1回目のインタビューは、2年前まで神宮前二丁目商和会の会長を務めていた佐藤正記さんにお願いしてみよう。今では100近くの商店・事務所が加盟している商店会で、編集部も神二新聞の創刊時から何かとお世話になっているのだ。
佐藤さんに取材申し込みのLINEをしたところ(商和会の役員さんたちはLINEをご愛用)、かわいいスタンプとともにさっそく快諾の返事が届いた。
生まれも育ちの神二の佐藤さんは、東郷幼稚園、千駄谷小学校、原宿中学校(統廃合のため現在は原宿外苑中学校)出身。実家の原電ビルでは、1階でご両親が電機店を営んでいた。その名も「原宿電機」。
「この辺の住所は今では神宮前二丁目だけど、当時は原宿三丁目だったんだよ。だから店の名前は『原宿電機』。ビル名の『原電ビル』はここからつけたんだ」と佐藤さん。だが佐藤さんが大学3年のとき、電機店は閉店。
「今度は中華屋を始めたんだ。店の名前は『中華料理 原宿』。僕は大学を辞めて、店を手伝うことになった。なんで中華屋かって? たまたま知り合いに中華のシェフがいたから、その人に調理をお願いしようっていうことになってね。店を開く前、横浜の中華街にも行ったなあ。別に研究とかじゃなくて、本当にただ見に行っただけだけど(笑)」
佐藤さんの担当は、ホールや出前の配達。当時の神二は周囲にアパレルの大きな会社があり、サラリーマンが多かった。お昼時になると30人ほど入る店内が賑わっていたという。
「セットのランチメニューが人気で、特に焼きそばは出前だけで1日50食くらい出たんじゃないかな」
そんなに評判だった「中華料理 原宿」も、1999年に店を閉めた。
「23年間続けた配達で、僕が首を痛めちゃったんだ。日中は動けるんだけど、店を閉めると、夕飯時に箸も持てないくらい動くのが大変になっちゃって」
閉店すると決めてから、1週間で店じまいしたというから潔よい。

中華店を閉め、商和会会長に

「中華料理 原宿」の閉店後、神宮前二丁目商和会の会長になった佐藤さん。どんないきさつで会長を務めたのだろう?
「『原宿飲食業組合』っていう渋谷・原宿・代々木エリアの飲食店が加盟している組合があるんだけど、中華屋時代、僕はそこの会計を担当してた。思えばここから街のボランティア活動が始まったなあ。神二商和会のお手伝いもそのときからやっていて。会長の声がかかったとき、ちょうど店も閉めるからと思って、受けることにしたんだ」
会長になった当時、佐藤さんは44歳。渋谷区内の商店会会長の中で最年少だったという。それから8年務め、4年休み、また会長になったときには、神二商和会のカラーも変わっていた。
「商和会の役員さんたちは、ほとんどが地元に住んでいて商売もやっている人たち。でも徐々に、住んではいないけれど神二で商売をやっているという人や、若い人も手伝ってくれるようになってきた。商和会の目的は『みんなで儲けること』。だから、商いに結びつけるイベントも始めたんだ」
そのイベントが、2014年から始めたピープルデザインストリートだ。

みんなで儲ける街にしたい

毎年10月の祝日、神二の商店街の道路を開放して行なわれるピープルデザインストリート。焼き鳥やたこ焼き、イタリア料理など、商和会加盟店による屋台が人気だ。ブラインドサッカー体験会や指輪作りワークショップ、ダンスや音楽のステージなどもあり、多くの人が集まる。
「今では毎年開催してるけど、最初は大変だったよ。車輌規制のお願いをしに、何度も原宿警察署やバス会社に行ったり。商和会の役員さんはもちろん、区のいろんな人が動いてくれたおかげで開催できた。その結果、事故も怪我もなく、子どもからお年寄りまで大勢の人が集まってくれて大盛況に終わったんだ。それから回を追うごとに商和会加盟店の出店が増えているのもうれしいね」
これからも、もっともっといろいろな人たちを巻き込んで神二の街が発展してほしい。そう言って佐藤さんはにっこり笑った。

 

原電ビル

神二商和会のエリアを照らす街路灯。中には展示ケースがあり、「ピープルデザインストリート」に来場した子どもたちによる手作りのメダルやお面も飾られる。

 

【神宮前二丁目商和会連絡所】

佐藤正記さんも原電ビルオーナーとして加盟している「神宮前二丁目商和会」では、加盟店を募集中。入会などのお問い合わせは以下の連絡所まで。
・クリーニングシマダ 住所/神宮前2-13-6 電話番号/03-3401-5902
・(有)フジタフォート 住所/神宮前2-20-10 電話番号/03-3470-1210
・ポット出版 住所/神宮前2-33-18 電話番号/03-3478-1774
・ヤマザキショップ原宿店 住所/神宮前2-20-13 電話番号/03-3408-1350

公開日:
最終更新日:2019/02/05