【第5号】神二の隠れた達人 玉川屋のおじさん 中村 光市さん
取材・文・撮影=佐藤智砂
玉川屋のおじさんに
バラの手入れを教えてもらった
野菜や調味料、タバコなど、ちょっとしたものを買うのに便利な店、「玉川屋」のおじさんのもう一つの顔は園芸家。花を咲かせるのがとても難しいというサイコプシス(蘭)や、月下美人などを育てている。そんな凄腕グリーンフィンガーのおじさんに、今一つきれいに花が咲かないわが家のバラを見てもらうことにした。
4月初旬、うちのベランダにやって来たおじさん。バラを見てひと言。「剪定しなかったでしょ? 2月に剪定しないとダメだよ」。えー、もう遅いってこと!? 「このバラは四季咲きだから、8月の下旬から9月の始めに剪定すれば、秋にはきれいに咲くよ」。よかった〜。で、剪定はどのように? 「外を向いている芽の1センチくらい上を切る。そうすると強い枝が伸びてきて、強い花が咲く。桜切るバカ、梅切らぬバカって言うけどさ、バラも思いきって切った方がいいのよ」。
植え替えの時期について聞くと、2月が一番失敗しないそうだ。今、土が硬くなっている場合は、添え木棒などを土に刺して穴を開けると、水はけがよくなってバラが元気になるらしい。特にこの時期は水やりが命。毎日あげて、肥料も忘れずに。油カスが一番いいそうだが、コバエがくるのでベランダ栽培には不向き。化成肥料でいいとのこと。
何を聞いても、即、答えてくれるおじさん。どうしてこんなに詳しいかというと、おじさんちは元々農家。二子玉川の近くで庭木や野菜を作っていた。つまりおじさんはプロだったのだ。昔はサツキやらツゲやら、いろんな庭木が売れたそうだ。玉川屋はおじさんのお父さんが作った野菜を売るために開いた店。今から約60年前、おじさんが二十歳の頃だ。今は、朝4時に市場で野菜を仕入れ、売り物の庭木は作っていない。趣味として植物を育てている。店のある日より、休みの日の方が植物の世話で忙しいそうだ。
●SHOP DATA
玉川屋
営業時間▶8:00〜20:00
定休日▶日・祝日
住所▶神宮前2-19-10
電話番号▶03-3401-4334
公開日: